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閑話:牡丹(ぼに)姫物語

IWAKAN Magazine

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シーズン2が始まるまでに閑話をお届け。第一弾はAndromedaがAndromedaになる前の物語…「牡丹(ぼに)姫物語」を披露します。

牡丹咲き誇る小さな村の少女の物語。自然、無邪気さ、貪欲さ、犠牲…そして地球との再接続について描かれている作品です。それではお楽しみください。

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10月2日(月)からはSeason2としてパワーアップするので、配信をお楽しみに。これからも続くよどこまでも 、「なんかIWAKAN!」です。

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牡丹(ぼに)姫物語:


昔々あるところに、都会から離れた小さな村がありました。

その村にはボニという名前の少女とその母親が住んでおり、牡丹が咲き乱れる(さきみだれる)庭に囲まれた家で、質素な暮らしをしていました。
彼らは着物を織り、刺繍をするのが得意で、その仕事ぶりは村で有名でした。

この一家ほど鮮やかな色彩を生み出せる人物は他にいないと言われており、これには理由がありました。一族は牡丹の花と特別なつながりがあったのです。彼らはその花びらから糸を編むことができました。

ある日、二人に依頼が舞い込んできました。王子のために羽織を作ってほしいという依頼です。都の人々は彼らの刺繍のことを聞き、それを身につけたいと望んでいました。

ボニは3週間、昼夜を問わず熱心に刺繍を続けました。その羽織の内側には、赤紫色を基調とした鮮やかな牡丹の刺繍が施されており、王子がそれを身につけた夜、王宮の庭の牡丹がいっそう輝きを増(ま)したというのです。


王宮の他の人々もボニの作品を見ると、みんなそれを欲しがりました。

そのおかげで、ボニは王宮に送られ、そこに住むことになりました。無邪気(むじゃき)な彼女は、どうやってあの素晴らしい色を作り出したかを王宮(おうきゅう)の人々に話しました。

最初のうちはボニは幸せで、王宮(おうきゅう)で快適な生活を送り、王宮のスタッフが刺繍に使うために最も素晴らしい牡丹を持ってきてくれました。

そして時が経つにつれ、宮廷内での彼女の地位は上がり、誰もが彼女の作品を尊敬するようになりました。やがて彼女は、ボニ姫という名誉(めいよ)ある称号(しょうごう)を与えられたのです。


しかし、月日(つきひ)が経つにつれ、ボニ姫が花から紡(つむ)ぎ出す色彩(しきさい)は色あせていきました。

ある日、ボニが刺繍をしていると、糸は手の中で灰になってしまいました。

何が起こっているのか心配になり、彼女は自分がもらっている牡丹の花の産地(さんち)を尋ねました。そこで見たものは、彼女を恐怖(きょうふ)に陥(おとしいれ)れるものでした。彼女の村全体を取り囲(かこ)んでいた森が切られていたのです。

その代わりに、王宮(おうきゅう)には牡丹の花が何列にも植えられえていました。

ボニ姫は、これ以上仕事を続けることはできないと思いました。

彼女は城に戻り、目が見えなければ刺繍を続けることはできないと考え、自分の目を刺繍針(ししゅうばり)で刺しました。

とうとうボニ姫は、光と影しか見えなくなってしまったのです。


これを知った貴族(きぞく)たちは怒り狂(くる)いました。約束されていたはずの着物がすべて手に入らなくなり、せっかく牡丹畑を作ったのに無駄になると怒ってしまいました。

ボニ姫は王宮(おうきゅう)を追放(ついほう)され、誰も近寄(ちかよ)らない山に連れて行かれました。ボニ姫の荷物は1日分の食料(しょくりょう)だけ。

ボニ姫は罰(ばつ)を受け入れ、山林(さんりん)の中に入っていきました。行き先が見えず、あてもなく歩き続けました。食べ物を食べ尽(つ)くし、わずかな水を飲み干(ほ)すと、大きな山のふもとに洞窟(どうくつ)を見つけました。ボニ姫はここでしばらく休むことにしました。


数日後(すうじつご)、ボニ姫は精霊(せいれい)の声を聞きました。

その精霊はボニ姫に森の精霊だと告(つ)げ、木の実(きのみ)を持ってきて食べさせようとしました。しかしボニ姫はそれを断(ことわ)りました。

翌日)、山を流れる川の精がボニ姫に自己紹介し、川の飲み物を勧(すす)めましたが、ボニ姫はこれも断りました。

翌日(よくじつ)、森の鹿がボニ姫の前に姿を現し、ボニ姫が食べられるようにと命と引き換えに差し出しましたが、ボニ姫はこれも断(ことわ)りました。

彼女はそれぞれの精霊(せいれい)に、これほど多くの自然が消えてしまったのは自分のせいだと言いました。。これ以上森から奪うことはできないと。


彼女は森の精霊(せいれい)に、木の実(きのみ)のつるが背丈(せたけ)を伸ばせるように、代わりに髪の毛の一部(いちぶ)を与(あた)えました。川の精霊(せいれい)には、川の音がより多くの音楽を奏(かな)でられるように、ポケットに入ってたガラスの装飾品(そうしょくひん)を与えました。鹿には、これから来る冬を暖かく過ごせるように、背中の服を与えました。風がもっと美しく歌えるように、彼女は自分の声を風に与(あた)えました。




森から来たそれぞれの精霊(せいれい)が彼女のもとにやってくると、彼女は与(あた)えるべき何かを見つけ、それを贈(おく)りました。


ボニ・ヒメは与えるものがなくなるまで、森の精霊(せいれい)たちに自分の持っているものを与(あた)え続(つづ)けました。その頃には、彼女の周りの森は厳(きび)しい山林(さんりん)から、人間の欲望(よくぼう)から離れ、再び生命が満ち溢れる小さなオアシスに変わっていたのです。


彼女は目を閉じ、自分を自然に受け入れてくれた森に感謝しました。何も残さず、彼女は大地に倒れ始めました。しかし、地面に触(ふ)れる前に、彼女の体は軽くなり、消えていきました。落下(らっか)すると、彼女はどんな刺繍よりも美しい虹色の牡丹に姿を変えました。


山岳地帯(さんがくちたい)の厳しい環境の中でしか咲かない花になりましたとさ。


おしまい